ソニーショールーム大阪(梅田阪急三番街1階プラザ劇場前)

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看板とは全然関係のない話です。

ソニーのショールームは、現在国内では東京・銀座と大阪梅田にだけあるようです。
以前はお台場にもありましたが、同社ウェブサイトには「2009年6月21日(日)をもって、営業を終了しました」とあるので2ヶ所だけだと思われます。
海外のことはちょっと分かりませんが。

大阪心斎橋にソニータワーという10階建ての大きなショールームがオープンしたのは1976年4月。東京のソニービルに引けを取らない規模のショールームでした。
当時BCLラジオ(ああ、懐かしい)やラジカセに興味があったので、友人とオープン直後に行ったのを憶えています。とても広くてカッコよく、友人と二人で「こんなに素晴らしいショールームが大阪に出来たんだ」と、喜んでいました。
残念ですがその後ソニータワーは閉鎖され、今は跡地に別のビルが建っています。
そしてショールーム大阪は、西梅田(ハービスエント4階)に2004年11月オープンしたソニーストア大阪内に移転しています。

今日ここで書きたいのはソニータワーのことではなく、また現在あるショールーム大阪のことでもなく、かつて梅田阪急三番街1階にあったショールームのことです。

手元にある古いソニーのカタログ(1976年3月印刷)にはその時点で東京と大阪に1ヶ所ずつあるショールームの所在地が記されています。

<ソニー 商品のしおり№22>1976年3月印刷

(<ソニー 商品のしおり№22> 1976年3月印刷)
カタログに表示された文字をそのまま引用します。

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ソニーショールーム 東京 ― 銀座数寄屋橋ソニービル (東京03)571-6922
大阪 ― 梅田阪急三番街1階プラザ劇場前 (大阪06)372-8225

中学1、2年生の頃、友人とよくこの梅田阪急三番街のショールームに行きました。
初めて行ったのが1975年の秋頃で、1976年4月にソニータワーが出来てからもしばらくは通っていました。
ソニータワーは心斎橋で自宅からは少し遠かったので、まだ手軽に行ける梅田に引っ張られるような感じでした。

簡単ですが、見取り図のようなものを描いてみました。
おぼろげな記憶を元に描いたので細かいところは間違っているかも知れません。
特に出入口の位置とドアの向きがちょっと自信ないのですが。

場所は階段のすぐそばで、近くまで行けば「このへんにあったんだよ」と指し示すことが出来ます。

広さは30坪くらいでしょうか。それほど大きくはないな、と感じていたのは確かです。
全体的にガラス張りで、と言って外から中が丸見えというわけではありません。
ドアもガラス製でした。
真ん中に間仕切りがあり、今思うととても上品に製品が並べられていました。
テーブルが3つ並んでいるように描いてますが、この上にもいろんな製品が並んでいたのです。

照明は色温度の低いものが多用され、少し暗いイメージで高級感いっぱいでした。
製品は、私の目当てのBCLラジオやラジカセ、ステレオ(コンポです)やトリニトロンカラーテレビ等が、所狭しと&気品あふれるいでたちで、並んでいました。
今でもとても買えないようなラジオ(例:CRF-320 ¥320000)やスピーカー(例:SS-8150 ¥245000/1台)なんかも普通に置いてあり、嬉しいことに誰でも好きに触っていい状態でした。
ショールームだから当然だと言えばそうなのかも知れません。
今でもよく覚えているのですが、世に出て間がない「エルカセット」のデッキが置いてあり、当時流行っていて中学生の私でもFM放送で聴いて知っている曲「夏の日の恋’76」(パーシー・フェイス・オーケストラ)のデモテープ(CBSソニーなのでした)をそのデッキに取り付けられたヘッドホンを使って聴くことが出来て、本当に感激しました。

ショールームなので販売は一切なく、事情をご存じない方が気に入った製品をその場で買い求めようとされる様子を何度も目にしました。
そのような時に職員の方は(たいてい女性でした)近くの家電量販店などを紹介していらっしゃいました。
階段のそばであると先ほど書きましたが、その階段を下りたところ(地下1階)に上新電機の阪急三番街店があり、そこを伝えることが多かったような印象です。

私がその「ソニーショールーム大阪(梅田阪急三番街1階プラザ劇場前)」に通っていたのは1年あまりの間だけでした。ソニータワーという大きなショールームが同じ大阪市内に出来たので、その役目を終えた阪急三番街のショールームは1976年末~1977年春頃(この時期を明確に覚えていないのです)に閉鎖されました。

かつて大阪にあった2つのソニーショールーム。
もちろんソニータワーにもいろいろ楽しい思い出があります。
それでもソニーのショールームは、私にとってこの阪急三番街にあった小さな場所こそがとても忘れがたいものなのです。
ちなみに現在のソニーショールーム大阪には一度も行っていません。多分これからも行くことがないでしょう。
(2018年3月29日)


ネット上に当時のソニー製品カタログの写真がいくつもありましたので、ショールームに関する内容をそこからいくつか引用させていただきます。

ショールーム 東京/銀座数寄屋橋ソニービル(03)571-6922
大阪/南区心斎橋筋ソニータワー(06)251-2391
   梅田阪急三番街プラザ劇場前(06)372-8225

(<CF総カタ№19> 1976年9月印刷 から引用)

ショールーム 東京/銀座数寄屋橋ソニービル(03)571-6922
大阪/南区心斎橋筋ソニータワー(06)251-2391
大阪/梅田阪急三番街プラザ劇場前(06)372-8225

(<オープンリールデッキ総合カタログ> 1977年3月印刷 から引用)

ショールーム 東京/銀座数寄屋橋ソニービル(03)571-6922
大阪/南区心斎橋ソニータワー(06)251-2391

(<アンプ/チューナー/レシーバー総合カタログ> 1977年6月印刷 から引用)

1976年4月のカタログを見つけられませんが、ソニータワーのオープンが4月15日なので、おそらくその月に発行されたカタログにはショールームとしてソニータワーも書いてあるのでしょう。

また、1977年4月のカタログも見つけられていませんが、おそらく「梅田ショールーム」は同年3月で閉鎖されて、上の「<アンプ/チューナー/レシーバー総合カタログ> 1977年6月印刷」と同様に大阪のショールームはソニータワーだけが記されているのだと思います。

そしていつから「梅田ショールーム」はあったのか。それは、オープン当時に印刷されたと思われる古いカタログのいずれにもその記述がない為に不明です。
ただ、阪急三番街が1969年11月30日開業(Wikipediaから)となっているので、おそらくこの開業日以降にオープンしたのであると通常は考えられます。
1969年と言えば大阪万博の前年です。ものすごく古い印象を受けられるかも知れませんが、私の知っている「梅田ショールーム」は実にきれいでした。

ちなみに当時「ソニー梅田ショールーム」に行くと、阪急三番街にある洋食レストランの厨房から流れてくるものすごくいい匂いがしていて、それがショールームの中にまで入ってきているような感じでした。
おそらく製品から出る匂いとブレンドされるのでしょう、中ではさらになんとも言えない感じの匂いになっていました。
「ソニー梅田ショールーム」のことを思い出すと、必ずそのいい匂いのことが併せて思い起こされます。

そして家電製品のショールームと言えば、同じく梅田の阪神百貨店6階にあった「ナショナルショールーム」のことも少し書いておきたいと思います。
かなり大きめのショールームで、その範囲がどこからどこまでであると、部外者の一般人にはすぐに把握しきれないような感じでした。
そしてMBSラジオの「ハローナショナルショールーム」で毎週のように公開録音をする等、イベントがいろいろたくさんありました。
「派手」「にぎやか」「集客上手」でした。

一方「ソニー梅田ショールーム」は、そういうイベントとは無縁な様子で、ひたすら訪問客を待っている感じでした。
訪問客の中には、ドアから入ってカウンターに直行し受付を済ませた後すぐに出て行かれる方もいらっしゃり、それは「ソニー梅田ショールーム」がショールームとして機能していただけではなく、修理の受付も行うサービスセンターの役割も果たしていて、それで来店する人がいたためです。

なぜ「ソニー梅田ショールーム」のことを書こうと思ったのかと考えますと、なくなってから既に40年も経つとはいえ、あんな素晴らしいソニーのショールームが梅田阪急三番街にあったのに、それについて書かれたウェブサイトが全くないので、それならせめて自分の知っていること、覚えていることを書いてみようと試みた、というわけです。

「私も行ってたよ」というご意見や、「ここの記述は間違いでは?」というようなご指摘でも結構です。コメントをお待ちしております。
当時はまだお生まれになっていない若い方からのご意見も大歓迎です。
よろしくお願い申し上げます。