「朝霧工業」の引張試験機(朝ドラ『舞いあがれ!』)

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ドラマで使用された検査装置に関する記事です。マニア向けだと思います。

朝ドラ『舞いあがれ!』第83回から。
大手企業である「菱崎重工」から航空機エンジン用ボルトの試作を依頼された「IWAKURA」が、苦難の末に完成させた試作品の性能試験を競合企業の「朝霧工業」で受ける場面です。
朝ドラ『舞いあがれ!』第83回から
朝ドラ『舞いあがれ!』第83回から
引張試験を行うのに使用する試験機(↑)。「IWAKURA」が作ったボルトがセットされています。キズの有無を調べる探傷試験にはすでに合格。

引張試験後です(↓)。「IWAKURA」の試作品ボルトは、見事引張試験も基準をクリアしています。
試験装置にご注目ください。かなり大きな装置である印象。
朝ドラ『舞いあがれ!』第83回から
同型の試験装置をネットで探したところ、とてもよく似たものが見つかりました。
「床置き型万能材料試験機『6800シリーズ』」のはず(↓)。

INSTRON」という米国のメーカーです。

インストロンは、引張、圧縮、曲げ、疲労、衝撃、ねじりといった材料試験機の総合メーカ。世界中に幅広いジャンルの材料試験機と構造物試験機提供しています。

そして、引張試験中に映っていたモニターに表示される内容がとてもカッコよかったので、印象に残っている方も多いのではないかと想像します(使用されているディスプレイは“kireidana”製――実際は“iiyama”製ですが)。

朝ドラ『舞いあがれ!』第83回から
左上の文字がある部分を切り取って補正しました。
朝ドラ『舞いあがれ!』第83回から

これは試験用ソフトウェアの名称に相違ありません。「GREENMEADOW Universal」なのですが、どうも実在しないようです。

「INSTRON」の試験用ソフトは「Bluehill Universal」なので、“Blue”を“GREEN”に変えて「GREENMEADOW Universal」としたのではないのかなと想像されるのです。ただ、架空のソフト名である「GREENMEADOW Universal」を『舞いあがれ!』の為にだけ新たに作ったのか(ソフト名の表示を変えるように改造して?)、あるいは撮影後CGで合成したのか(こちらも大変そう)分からないのです。

時間的にはわずかしか映らず、たぶん視聴者のほとんどが気づかない箇所。それでも特定の製品名を出来るだけ使用しないという事情があるので、逆にとても洒落を効かせた工夫をしているのに感動しました。