第十六回文藝ノ友新人賞(朝ドラ『エール』)

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ドラマの小道具で使われた雑誌についての短い記事です。

コロナ禍下撮影が出来なくなり、それに伴い本放送が延期されていた朝ドラ『エール』の放送が今日再開しました。喜んでいらっしゃる方が多いことでしょう。

今日放送された第66回で、ヒロイン音の妹・梅(演:森七菜さん)が『文藝ノ友新人賞』を受賞し、『文藝ノ友』「五月號」にそれを知らせる記事がありましたので、文字起こししてみました。右のページだけ。
朝ドラ『エール』第66回から
朝ドラ『エール』第66回から
朝ドラ『エール』第66回から

『文藝ノ友』課題作 第十六回文藝ノ友新人賞

小說『濱に足跡』豐橋市 關内 梅(二十二歳)

亡き父への思ひをもとに
繊細な心理描寫で巧みに表現

『第十六回文藝ノ友新人賞』が、
關内梅さんの作品『濱に足跡』に
贈られることが決まつた。
『濱に足跡』は、豐橋を舞臺にし
た畫家を夢見る少女の話だ。冒頭
の主人公が海邊に坐つてゐる場面
から過去への回想が始まる。幼い
頃から言葉で表現することが不得
手の主人公は、自分を表現する術
として繪を愛していく。畫家にな
る夢を持つ彼女は、繪に自分の想
ひを投影すことで、自己を補完し
安心を得るやうになる。そしていつしか
繪は彼女自身になつていく。しかし繪が
彼女自身になつていけばいくほど、自己
の醜い部分もあらはになつていく。他の
畫家と自分の實力を比べる主人公。繪の
世界で有名になつていく舊友。徐々に主
人公は繪と距離を置くやうになる。ある
日彼女が海邊に坐つてゐると子供時代に
亡くした父が現れる。父と日々を過ごす
ことで、海邊の砂濱に遊びで繪を描いて
ゐた頃に抱いてゐた繪への想ひが變はつ
てゐたことに氣附く主人公。父との出會
ひの前と後で變化する主人公の心理描寫
は壓卷である。
梅さん自身も、幼いことにお父樣を亡
くしてをり、この作品は自身の經驗を元

段組みが上段と下段で異なっているのでちょっと驚きました。

画家と小説家と職業は異なりますが、この(劇中)小說『濱に足跡』は、友人に先を越された経験を持つ梅の実体験そのものですね。

また、「ある日彼女が海邊に坐つてゐると子供時代に亡くした父が現れる」というところは、海邊と自室と場所は違うものの、第57回で亡父が突如現れた場面そのままです。この符合に気づくファンも少なからずいることでしょう。