逆さまに取り付けられた袖看板(朝ドラ『なつぞら』「喫茶リボン」)

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朝ドラに出てきた看板の話です。ちょっとだけ技術的なことを。

NHK連続テレビ小説『なつぞら』第51回で初めて出てきた「喫茶リボン」。
置看板ふたつ(ひとつはメニュー看板)と袖看板(突き出し看板)に「喫茶リボン」と書かれています。
「喫茶リボン」
「喫茶リボン」
壁に取り付けられた袖看板(突き出し看板)の取り付け方が通常とは逆向き(逆さま)になっているのに気づきました。
本来ならフタが上側にくるのですが、「リボン」の袖看板では下側になっています。
こういう取り付け方をすることは実際にあり、それにはいくつか理由があります。
まず、フタを普通に上に持ってくると中の蛍光灯を交換する際に高いところに上らないといけなくなることが多く、それを回避するのに天地を逆にして取り付けて欲しいという依頼があったりします。
また、板面はガイドで収まっていて、通常の取り付け方だと中を開けるのにはフタを外した後に板をまっすぐ上に引き上げねばならず、それが物理的に無理な場合は逆さまに設置することがあります。「喫茶リボン」の看板の場合は真上すぐのところに障害物があり、フタはなんとか取れても板を上に上げられないので、やむなく下から板を外せるように逆さまに取り付けをした、ということなのだと思います。

ただ、「喫茶リボン」の看板の場合、フタは道路側と壁側が反対に付いているようです。底部分にビス(穴)が見えていて、これは看板を固定する「振れ止め」の為のもので、通常は中央より外側にあります。また、放熱の為(?)の穴は、正面から見えない壁側にあるべきでしょう。

もう一点、この袖看板について技術的なことを。
この表示面は印刷した乳半シートを貼ったものだと思われます。ドラマの設定が1956年なので、ちょっとこの時代にはなかったのではないのかなあという印象ですが、あまり細かいことばかりを言うと興ざめしてしまいますね。
ちなみに看板のサイズはおそらくW600×H600で、「角丸」と呼ばれる、コーナーを丸くしたものです。

天地逆の取り付けは、さすがはNHKの大道具さんだと感じました。


「喫茶リボン」のセットは、『半分、青い。』で使用されいた「喫茶おもかげ」(=「喫茶ともしび」)のセットを流用したものですね。

『半分、青い。』第17回「喫茶ともしび」
(朝ドラ『半分、青い。』第17回「喫茶ともしび」)

『半分、青い。』第37回「喫茶おもかげ」
(朝ドラ『半分、青い。』第37回「喫茶おもかげ」)

「喫茶ともしび」「喫茶おもかげ」と違って、左の細い柱が「喫茶リボン」では太くなっています。


朝ドラ『なつぞら』第58回「喫茶リボン」
『なつぞら』第58回では、太かった柱が「喫茶ともしび」「喫茶おもかげ」と同様に細くなっていました。よ~く見てみると、後ろにある電柱か何かと重なって太くなったように見えていただけですね。失礼しました。。


ちなみに『なつぞら』「喫茶リボン」の袖看板は、『ひよっこ』のあかね坂商店街ある「ホリウチ」と書かれた袖看板と同じもののように見えます。
『ひよっこ』第79回
(『ひよっこ』第79回から)

「ホリウチ」の袖看板は逆さまではなく通常の取り付け方なので「喫茶リボン」のとは天地が逆になっているのですが、側面(画像では正面に見える側)の汚れ具合が激似なのです。
間違っていたらごめんなさい。
『ひよっこ』第79回「ホリウチ」袖看板