沖縄料理店「あまゆ」の向かいにある建物(朝ドラ『ちむどんどん』)

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ドラマのセットに関するマニア向けの記事です。

朝ドラ『ちむどんどん』第32回から。横浜・鶴見ハイサイ通りにある沖縄料理店「あまゆ」から出て来た平良三郎(片岡鶴太郎さん)とその妻多江(長野里美さん)です。ヒロイン暢子(黒島結菜さん)は左に立っています。奥のドアの形状にご注目を。
朝ドラ『ちむどんどん』第32回から
そして暢子が勤める、東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」店内から外を撮ったもの。昼の開店時です(『ちむどんどん』第32回から)。こちらも奥のドアにご注目ください。
朝ドラ『ちむどんどん』第31回から

ドアそのものは、『ゲゲゲの女房』の純喫茶「再会」、『半分、青い。』の百円ショップ「大納言」、同じく喫茶「ともしび」等に使われてきたということがあり、同じドラマの中で使い回しされるとしても特に驚くことではないなと感じます。

朝ドラのセットで使用されたドアに関する記事です。 朝ドラ『半分、青い。』第84回及び第108回から。100円ショップ「大納言」の控室です。...

「あ」と思ったのは、「もしかするとあまゆはアッラ・フォンターナの向かいにあるのでは?」という、ちょっとありえそうにない建物の配置があるかもと感じたからです。

両者を比較する為の「アッラ・フォンターナ」の画像は第27回から。三郎が就職先を紹介するということで、暢子を「アッラ・フォンターナ」へ連れて行く場面です。朝ドラ『ちむどんどん』第26回から
落ち着いた佇まいで、高級イタリア料理店の風情を感じます。

「あまゆ」の方は、番組公式ホームページのフォトギャラリー第7週から画像をお借りします。
朝ドラ『ちむどんどん』番組公式ホームページ・フォトギャラリーから
コンクリートの屋根やそれを支える鋼鉄製の柱が何本もあり、いかにも下町といった雰囲気。庶民的です。
しかしこれらは共通の建物セットを使っているようなのです。喫茶・軽食「ハイビスカス」のドアと周りの外壁部分は、「アッラ・フォンターナ」の手前(左側)にある建物のそれらと同一に見えます。

そして、別の放送回(第29回)で鶴見ハイサイ通りが映った一場面から。
朝ドラ『ちむどんどん』第29回から
朝ドラ『ちむどんどん』第29回から
高級ビール「新コマーノ」の看板がある凹んだところが「アッラ・フォンターナ」のドアのある場所なのだろうなと思われるのです。店の名は「めんそーれ」でしょうか。
柱の向こう側にある窓を切り取ります。
朝ドラ『ちむどんどん』第29回から
他方、「アッラ・フォンターナ」(そば)の窓。
朝ドラ『ちむどんどん』第27回から
激似というより、同一の窓だと考えた方がよいでしょう。

双方の雰囲気は全然違っています。実に「まさかや~!」なのですが、東京・銀座と横浜・鶴見ハイサイ通りは共通のセットが使われていて、「アッラ・フォンターナ」(の建物)は、「あまゆ」(の建物)の向かいにあるのです。
気づいたので書いてしまいました。


追記です。

「あまゆ」の建物は、別の建物に一旦変身しています。3枚の画像は第41回から。「アッラ・フォンターナ」のオーナー房子に命じられて別の飲食店(おでんの屋台店)の立て直しに取り掛かる暢子です。ドアがそのまま映っているので分かってしまいました。朝ドラ『ちむどんどん』第41回から
朝ドラ『ちむどんどん』第41回から
朝ドラ『ちむどんどん』第41回から

「あまゆ」は下宿「横羽荘」に変身していたのでした。「あまゆ」と雰囲気は似ていますが、別の場所という設定です。こちらは比較的分かりやすいかも。

こうして建物の使い回しをすること自体に、私は否定的な意見を持ちません。
制作スタッフのされる工夫やご苦労を想像すると、書いてしまってよいのか迷うことも多いですが、気づいたからにはやはり書きたいので書いてしまっています。
そうして、それを見て番組をより楽しんで観る方が多くなればいいな、と思っております。

(2022年6月7日追記)


「あまゆ」は、さらに別の建物2軒に転用されています。

まず、暢子の兄・賢秀(竜星涼さん)が住み込みで(?)働く「猪野養豚場」(画像は第46回から)。
朝ドラ『ちむどんどん』第46回から
一方、暢子の妹・歌子が勤める「普久原運輸」の事務所です(第41回から)。
朝ドラ『ちむどんどん』第41回から
入口の場所が異なっているのですが、通りに面して一番左に位置している窓(角の手前)が全く同じなのでまず間違いありません。

両者と比較する為の「あまゆ」の画像です(第31回から)。
朝ドラ『ちむどんどん』第31回から
見れば見るほど、です。

ということは、今のところ、

  • あまゆ
  • (アッラ・フォンターナの向かいの建物)
  • 横羽荘
  • 猪野養豚場
  • 普久原運輸

の5軒で共通の建物セットが使用されているということになります。これってスゴいことなのではないでしょうか。

中の様子が映っているのは「あまゆ」「猪野養豚場」「普久原運輸」だけですが、それぞれ異なっていて(猪野養豚場と普久原運輸はかなり似ています)、いったいどういう風に撮影をなさっているのか、部外者にはさっぱり分かりません。

「あまゆ」と共通のセットを使った別の商店等が、あとひとつくらいは登場しそうな予感がするので、その際にも追記します。

(2022年6月15日追記)


もしかすると、なのですが、和彦の母・重子が住む青柳家の建物(第76回で初登場)が、「あまゆ」に代表される建物にソックリなのです。
朝ドラ『ちむどんどん』第76回から

2階にある正方形の窓のある部分が、玄関を含めて、2つの建物をつなぐ形で増設されたのかな、と思われるのです。

(2022年7月26日追記)


やはり青柳邸も「あまゆ」でした。

番組公式サイトの「アッラ・フォンターナ」のセットができるまでにある画像を引用させていただきます。

朝ドラ『ちむどんどん』「アッラ・フォンターナ」のセットができるまで から

左は「徳嵩書房」(古書店)、右は「Renata」(アンティークショップ)です。いずれも「アッラ・フォンターナ」の向かい。

「アッラ・フォンターナ」から客を送り出す為に出て来た暢子が空を見上げる第80回の画像です。「Renata」の2階部分がよく見えています。
朝ドラ『ちむどんどん』第80回から

もう一度、第76回の青柳邸画像を。
朝ドラ『ちむどんどん』第76回から

実に見事な使い回しだと思います。こうしていろんな画像を比較すると分かってしまうのですが、ごく普通に放送を観ているだけならまず気づかないでしょう。

ここまでをまとめます。

  • あまゆ
  • Renata(アッラ・フォンターナの向かいにあるアンティークショップ)
  • 横羽荘
  • 猪野養豚場
  • 普久原運輸
  • 青柳邸

の6軒が、同一の建物であると考えられます。
さすがに『ちむどんどん』ではもうないと思いますが、さらに別の何かに転用されていないか、一応チェックすることにします(あればウレシイ)。

(2022年7月29日追記)


「Renata」と「横羽荘」は、建物内部の映像がなかったのですが、他は一応全部あるので、似たアングルからの静止画像で比較してみたいと思います。

まず「あまゆ」(第49回)。
朝ドラ『ちむどんどん』第49回から
次に「猪野養豚場」(第56回)。
朝ドラ『ちむどんどん』第56回から
「普久原運輸」(第47回)。
朝ドラ『ちむどんどん』第47回から
そして青柳邸(第80回)。
朝ドラ『ちむどんどん』第80回から
「これらを全部同じセットだと思えと言うのか!?」という驚きがまずあります。特に青柳邸から一旦「あまゆ」に戻して(あまゆが先に作られたという前提ですが)また青柳邸にするというのは、現実にやるのか、出来るのか、部外者ですが心配になってきたりします。セットに合わせてまとめて撮るというのが通常なのかなと思いますが。

番組制作上、予算の制約は当然あります。場所の制約(スタジオ内の限られたスペースで行わなければならない)や、時間の制約(放送日時は決まっている)もあるでしょう。肝心のスタッフも限られた人員でこなさなければならないし、今だと感染対策を徹底して行わなければなりません。そういう非常に厳しい条件の下、朝ドラは作られているのだなと、「あまゆ」に代表されるセット使い回しを知ることにより、あらためて認識しました。

(2022年7月30日追記)


さらに追記です。
戦前から戦後復興期にかけての鶴見でも使われていました。画像は第84回から。屋台店の主人は若き日の大城房子(桜井ユキさん)。「あまゆ」(ここでは横羽荘)の建物はトタン板が貼られたところ。
朝ドラ『ちむどんどん』第84回から

そして三郎(田中偉登さん・中央)が大暴れする場面。「横羽荘」(の建物)は右に見えています。朝ドラ『ちむどんどん』第84回から

乱闘の後です。朝ドラ『ちむどんどん』第84回から
やっぱり「横羽荘」が映っています。

戦後の闇市の時代を回想する第44回では、その時の鶴見が映っています。「横羽荘」(当時からそうだったのかは不明です)は、右のトタン波板の塀があるところ。
朝ドラ『ちむどんどん』第44回から

おでんの屋台店を暢子が立て直した週の回想シーンで使われていた箇所なので、新しい場所を発見したとは言えないでしょう。ただ、時代設定は異なります。
先に引用させていただいた画像2枚。トタン波板が目印。
朝ドラ『ちむどんどん』第41回から
朝ドラ『ちむどんどん』第41回から

そして、かなり印象的なシーンの静止画像です(第84回から)。
朝ドラ『ちむどんどん』第84回から
この細い通路も「横羽荘」脇にあって、殆ど変わらない状態で使われていました(第41回から)。
朝ドラ『ちむどんどん』第41回から
以上、戦前の「横羽荘」(の建物)が使われた第84回の静止画像でご説明しました。

別の場所の見落としに気づいたので、ここからはそれについて書きます。
(↓)画像は第49回のもの。暢子がシェフの二ツ橋(高嶋政伸さん)と漁港に来て、近くの食堂で昼食を取る場面。以前からちょっと気になっていました。
朝ドラ『ちむどんどん』第49回から
「もしかすると外の道は、あまゆの横にある路地では?」と思ったのですが、確かめようがありませんでした。

でもよく見ると、見覚えのある配管が。右の「ビール」と書かれた青い幟のある場所です。
朝ドラ『ちむどんどん』第49回から

「これはあったはず」と画像を探したところ、フォンターナの前にある「Renata」の壁にある配管と同じであることが確認出来ました(左側でフォンターナのある方)。
朝ドラ『ちむどんどん』第59回から

第49回、食堂の画像を再掲します。
朝ドラ『ちむどんどん』第49回から
二人が食事する小上がりになっている箇所は、ほぼそのままの状態で流用されているようです(どちらが先かは不明なのですが)。下の画像はいずれも第53回から。「あまゆ」の横。
朝ドラ『ちむどんどん』第53回から
朝ドラ『ちむどんどん』第53回から
コインロッカーや自販機が置かれている場所になっていました。

1軒増えたので、再度一覧にします。

  • あまゆ
  • Renata
  • 横羽荘(戦前と戦後の闇市、現代)
  • 猪野養豚場
  • 普久原運輸
  • 青柳邸
  • 漁港にある食堂の隣の建物

他にも「見落としかな?」と思い当たる場所があるので、もしかしたら「ここも」となるかも知れません。

(2022年8月5日追記)


追記です。
第43回の画像。賢秀が電話をしているのは、「あまゆ」の横の路地みたいに見えますが、この位置に赤電話がある地点は、これまで出て来た東京近辺にある似た場所(あまゆ・横羽荘・Renata)にはないので、「別の場所」としてカウントするべきでしょう。
朝ドラ『ちむどんどん』第43回から

この電話ボックスそのものは、(物理的に)近い場所で使い回しされていました(第43回から)。「Renata」の脇でしょうか。賢秀が使っていたのと、明らかに位置と向きが異なります。朝ドラ『ちむどんどん』第28回から

また、第91回で賢秀が我那覇とぶつかったこの場所は、喫茶「サーカス」の建物(左)のすぐそばで、そうなると画像の右側にあるのが青柳家(の建物)なのだな、となってしまうわけです。
朝ドラ『ちむどんどん』第91回から

実際には青柳邸ではなく、また別の建物になっているようですが(第91回)。
朝ドラ『ちむどんどん』第91回から
ここまで詳しく画像を検証することに意味があるのか、自分でも疑問に思ったりもするのですが、せっかく書いてきたので、出来れば最後までモレなく「あまゆ」を使い回しした建物を追いかけたいなと考えております。

(2022年8月15日追記)


暢子が開く沖縄料理店は、「あまゆ」の横にある「徳嵩書房」を改造したものです。画像は第95回から。
朝ドラ『ちむどんどん』第95回から
沖縄料理店は開店前なので看板がありません。
「あまゆ」の方ですが、ここでは青果店のようで、これからしっかり映る場面もあるでしょう。

比較する為に使用するのは、先に引用させていただいた画像。

朝ドラ『ちむどんどん』「アッラ・フォンターナ」のセットができるまで から

手前の客席部分を増設したのだと言えば分かり易いでしょうか。
間の路地が、第95回の画像ではかなり広くなっているように見えます。以前は1間ほどだったのが、2倍以上に広がっているなと感じます。

沖縄料理店内部の様子です(第95回)。
朝ドラ『ちむどんどん』第95回から「徳嵩書房」の「Tokutake」と記されたカルプ文字(厚みのある切抜き文字)看板のあったあたりの壁が見えていたりします。

「あまゆ」を改造したお隣にある青果店がどんな様子なのか、とても興味があるので、内部が分かりそうな映像を期待したいです。

(2022年8月20日追記)


新ネタです。
急に実家を出た清恵が勤めるようになった「ヒットパレード」という店が入っている場所も「あまゆ」の使い回しだと判断しました。画像は第107回から。
朝ドラ『ちむどんどん』第107回から
(↓)上でも引用させていただいた第53回の静止画像です。右手前から奥までが「あまゆ」。見比べてみると、天井のあたりがソックリ。
朝ドラ『ちむどんどん』第53回から
そうして、決め手になりそうなのが双方の通りの同じ位置にある、消火栓の表示灯みたいなこのランプです(不鮮明で申し訳ありません)。
朝ドラ『ちむどんどん』第107回から
朝ドラ『ちむどんどん』第53回から

これ以上はもうないはず(でもまだきっとある)。

(2022年9月6日追記)