使い回しされる看板25(大阪制作の朝ドラ)

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ドラマのセットで使われる看板に関する短い記事です。朝ドラの看板マニア向けですが、一般受けもしそうなネタかも知れません。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第40回から。2代目ヒロイン・るいが住み込みで働く「竹村クリーニング店」です。正面に設置された平看板にご注目を。
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第40回から
看板部分を切り取りました。
文字のある看板面ではなく、枠部分に注意してご覧ください。
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第40回から「竹村クリーニング店」平看板
枠の4隅に、丸く彫られた飾りのあるのがお分かりになるはずです。また、正面から見た4辺の枠は、いずれも真ん中が溝のような形になっています。

「水色ではなく、もっと色の濃い看板を朝ドラで見たはずだ」とわりと最近の朝ドラで使われた看板を見ていたのですが、全然ありません。諦めかけていたところ、偶然見た朝ドラの静止画像が、「竹村クリーニング店」の看板の枠と全く同じ形だったのを思い出させてくれました。

『カーネーション』第48回の静止画像です。右から左への横書きで「洋装 オハラ」と書いてあります。ヒロイン糸子(演:尾野真千子さん)の店、というので明るい感じのデザインです。
朝ドラ『カーネーション』第48回から
この画像からは、4隅の装飾がかなりよく見えます。まず間違いなく手彫りで、そして看板としては『カーネーション』の中でも主役級と言っていいはず。

その看板を使ったということは、それだけで「竹村クリーニング店」が非常に重要な店舗であることを暗に表現しているのだと思うのですが、気づいた人は私を含めてほとんどいなかったのでないかと推察します。

『カーネーション』の「洋装 オハラ」看板は、金色を贅沢に使い、店名には厚みのある切文字を採用し、左右に袖看板を模したパーツを従えた3面から成る看板で、いかにも高級なイメージ。

一方、「竹村クリーニング店」の看板は、ごく普通の看板の表情をしていて、「よく見るとちょっと凝ってるかも」という感じです。
朝ドラの美術班が、過去に使われた重要な看板を、それもさりげなく持って来るあたりに、きっとマニアは喜ぶのでしょう。

ちなみに、「戦前のカナ表記なら『オハラ』ではなく『ヲハラ』を使うべきだ」というような声があるのは知っております。確かに「小原」姓をカタカナで書くなら「ヲハラ」だったはずなのですが、歴史的仮名遣いを誤った表記法で書くというのは、戦前の新聞広告などでもよく見られており、ここは「看板屋の間違いだったのだ」ということでご容赦いただきたいと考えます。