「思い出のピザ・マルゲリータ」(朝ドラ『ちむどんどん』)

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ドラマの小道具に関する短い記事です。かなりマニア向けかも。

朝ドラ『ちむどんどん』第39回から。ヒロイン暢子たちが、勤務する東洋新聞社内で1960年代のある記事を探し出した場面です。新聞記事は縮刷版。
朝ドラ『ちむどんどん』第39回から
見やすくなるよう補正しました。
朝ドラ『ちむどんどん』第39回から「思い出のピザ・マルゲリータ」
左の方がピントがだんだん外れていき、映っていない部分も多くなるのですが、意味がだいたい分かるようなので、テキスト化してみました。自信のない箇所は太字で表しています。

「思い出のピザ・マルゲリータ」

こんにちは。はじめまして。い
つも「わたしの声」を楽しみに読
ませて頂いています。私は長年地
元の幼稚園で先生をしている者で
す。今回私が投書をした理由は、
どうしてもある人に伝えたいこと
があるからです。しかし、その人
に直接伝える術がないのです。
私は神戸で生まれ育ちました。
そして戦後間もない焼け跡闇市の
時代、貧しさと空腹の中で彼と出
会い、恋に落ちました。
私はその頃、米軍基地でベビー
シッターとして働いていたのです
が、仕事も家族関係も上手くいか
ず、自分を受け入れてくれる場所
を探し求めていました。そんな時
に旧い友人と訪れたのが、基地の
近くにある小さな食堂でした。
当時の私は食に贅沢もなく、外
国の料理はほとんど食べたことが
●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●ピザ・マ

ルゲリータ。私はその味を忘れる
ことが出来ません。なぜ私がマル
ゲリータに惹かれたのか、その理
由が分かったのはもう少し後のこ
とでした。
私はそれから何度もその店に通
い、何度もマルゲリータを食べま
した。しかしある夜マルゲリータ
を食べたときに、なにか違和感を
感じました。美味しいのですが、
そこはいつもの私を受け入れてく
れる安息の地ではないように思い
ました。後で気づきましたが、そ
の日は、いつもとマルゲリータを
焼く人が違ったの●●●●●●●
づいたとき、私は●●●●●●●
はなく、いつ●●●●●●●●●
私に●してく●●●●●●●●●
をして●●●●●●●●●●●
それが●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●

間違いに気づいた際には訂正します。


第40回で、この投書を引用した「我が生涯最後の晩餐」の記事が映っていました。
朝ドラ『ちむどんどん』第40回から
私の視聴環境では読めないので断念しましたが、BS4Kの画面から全文をテキスト化した方がいらっしゃいました。ツイートを引用させていただきます。

後半部分が実は肝心だったのでした。


スマートフォンで撮影したBS4K画像を知り合いが送ってくれたので、それを見て私も再度テキスト化してみました。明らかに間違っていた箇所(誤:贅沢→正:興味)は訂正しています。

投書欄 わたしの声
「思い出のピザ・マルゲリータ」

 こんにちは。はじめまして。い
つも「わたしの声」を楽しみに読
ませて頂いています。私は長年地
元の幼稚園で先生をしている者で
す。今回私が投書をした理由は、
どうしてもある人に伝えたいこと
があるからです。しかし、その人
に直接伝える術がないのです。
 私は神戸で生まれ育ちました。
そして戦後間もない焼け跡闇市の
時代、貧しさと空腹の中で彼と出
会い、恋に落ちました。
 私はその頃、米軍基地でベビー
シッターとして働いていたのです
が、仕事も家族関係も上手くいか
ず、自分を受け入れてくれる場所
を探し求めていました。そんな時
に旧い友人と訪れたのが、基地の
近くにある小さな食堂でした。
 当時の私は食に興味もなく、外
国の料理はほとんど食べたことが
なかったので、お勧めされた料理
を注文しました。それはピザ・マ

ルゲリータ。私はその味を忘れる
ことが出来ません。なぜ私がマル
ゲリータに惹かれたのか、その理
由が分かったのはもう少し後のこ
とでした。
 私はそれから何度もその店に通
い、何度もマルゲリータを食べま
した。しかしある夜マルゲリータ
を食べたときに、なにか違和感を
感じました。美味しいのですが、
そこはいつもの私を受け入れてく
れる安息の地ではないように思い
ました。後で気づきましたが、そ
の日は、いつもとマルゲリータを
焼く人が違ったのです。それに気
づいたとき、私はマルゲリータで
はなく、いついかなる時も笑顔で
私に接してくれる一人の従業員に
恋をしているのだと分かりました。
それが、私にとって最初で最後の
恋でした。それから、私たちは結
ばれました。イタリア人の彼は、
常に私を尊重し、私の傍にいてく
れました。結婚の約束もしました。
 結局は周囲の反対に負けてし
まったけれど、私は今でも彼のこ
とを愛しています。彼との別れは
辛く悲しいものでしたが、それで
良かったのだと自分に言い聞かせ
ました。なぜなら、私は彼の夢を
知っていたからです。彼は私のた
めに、イタリアで自分のレストラ
ンを開くという夢を諦めようとし
ていました。私は彼を心から愛し
ていたので、その夢を絶対に叶え
てほしかったのです。
 私は一人イタリアに帰る彼を見
送りました。今でも、そのことに
後悔はありません。いつかイタリ
アに行って、彼に会いたいと思っ
ていましたが、実は私の身体は彼
と出会った頃にはもう病に蝕まれ
ていました。それを彼に悟られな
いよう、彼の前では入念にお化粧
をしていました。少しでも綺麗な
ままの自分でいたかったのです。
それも、今では素晴らしい思い出
です。
私に、孤独感はありません。私は
一人ではないからです。私の中に
は、あの時の彼の笑顔とマルゲ
リータがいつも輝いているのです。
 最愛のあなた、私はあなたのお
かげで幸せな人生を送ることがで
きました。心から感謝しています。
これからも私は、天からあなたの
ことをずっと見守っています。今
でも、あなたのことを愛していま
す。
  (匿名希望 兵庫県神戸市)

(2022年6月4日追記)