日活映画『愛と死をみつめて』大阪市福島区ロケ

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映画のロケ地に関する記事です。

日活映画『愛と死をみつめて』(1964年)を観ました。撮影場所については、堂島にあった阪大病院がメインなのであろうと思われ、また他に大阪市内のあちこちで撮られた場面が見られて、映画の内容は重く悲しいものなのですが、大阪人としてはやはり嬉しいわけです。

中でもネット上ではロケ地について殆ど触れられていないこの場所。マコ(浜田光夫さん)とミコ(吉永小百合さん)が商業施設へ買い物に来た場面です。
日活映画『愛と死をみつめて』から
日活映画『愛と死をみつめて』から
日活映画『愛と死をみつめて』から
日活映画『愛と死をみつめて』から
二人が見つけたのは鉢植えのフェニックス。これを買い求めるのでした。

さて、引用させていただいた最初の画像の左上にある部分。
日活映画『愛と死をみつめて』から
ガラスに「FUKUSHI」と大阪市の澪標をあしらったマークがあります。大阪市内で「FUKUSHI」と来れば、これは「FUKUSHIMA」に他ならず、マークからは大阪市の公設市場であろうと想像されます。よってここは福島公設市場ではないのかと。

検索してみると「福島区内公設市場」という名の写真が出て来ました。

店内の雰囲気が似ていて、ライトが同一のものに見えるので、おそらくここで撮影されたのだと思われます。

ちなみに、『愛と死をみつめて』の翌年に公開された『青春のお通り』でも似た感じの商業施設内で撮影があり(同じ大阪です)、もしかすると『愛と死をみつめて』のこの場面が好評だったので『青春のお通り』に取り入れたのではないのかな、と想像したりしてしまいます。


福島公設市場について少し調べたのでそのことを。

『福島区史』に同区内の公設市場についての記述がありましたので引用させていただきます。

戦後は、西野田・海老江公設市場が昭和二十一年十一月から、福島公設市場は、二十二年二月からそれぞれ部分開場した。
(中略)
福島公設市場は、昭和三十六年十月二十四日に、市場近代化をめざし、地下一階地上七階建(地下一階市場、ニ-七階は賃貸住宅)の新築市場において新発足、現在「ピコ福島」の愛称をもって、コンビニエンススタイルの売場導入や飲食サービスコーナーの拡充、夜型社会にマッチした営業時間 (朝七時―深夜十二時) などによりその活性化を図っている。

『福島区史』【第7節 産業と商業】から引用

つまり『愛と死をみつめて』が公開される3年前に新しくなった公設市場であるということです。確かにまだ新しい商業施設という印象。

そして、場所に関する記述もありました。実はどこにあるのか分からなかったのです。

 区内公設市場概況

区 分 福島(ピコ福島)
所在地 福島2-1-34
開 設 大正7年4月15日
敷 地 1190㎡
建 物 鉄筋コンクリート地下1地上7階(住宅併設)
延 床 1678㎡
店 舗 スーパーマーケット型式及び個店7

(同上)

場所は「福島2-1-34」ということなので(阪大病院のあった場所からは目と鼻の先!)、Googleマップで見に行きます。

ちょうど「上天神南」交差点の南西にある「P」マークが入っている場所です。しかし「福島公設市場」はもうすでにありません。

2019年7月撮影のGoogleストリートビュー。
中央にある閉じられた状態のシャッターが、かつての福島公設市場の入口。
これより新しいストリートビューでは、建物が取り壊されて駐車場になっている画像だけです。

図書館にあった、テナント名が入った古い住宅地図を書き写しました(屋号は外しています)。
「福島公設市場」(部分)

この中の生花店(下の列で左から4番目)でフェニックスを買ったということです。
ちなみに「かしわ」は鶏肉のこと。また、「カネテツ」はかまぼこやちくわなどの魚肉練り製品を製造・販売しているメーカー名ですね。

生花店の真向かいは「煮物」屋さんで、これはおそらく今で言うお惣菜屋さんと見ればよいのでしょう。「煮物」店が映っている画像を再掲します。
日活映画『愛と死をみつめて』から

陳列棚には皿などの器が映っているだけのように見えるので、おそらく商品は注文のたびに鍋から器に入れて客に渡すということなのでしょう。こぼれたりしないか、ちょっと心配ですが。

それにしても映画のお二人は実に楽しそうで、あたかも新婚夫婦であるかのように見えます。
とても悲しい映画なのですが、微笑ましい場面がいくつもあり、この福島公設市場でのひと時も私の好きな箇所のひとつです。

(2021年10月19日追記)