朝ドラの小道具に関する話です。マニア向け。
現在放送中の朝ドラ『スカーレット』。第125回放送(2020年2月28日本放送)で非常に興味深いものが写っているのに気づきました。
「喫茶サニー」の店内に置かれたマガジンラックです。
上の雑誌には黄色い字で「ギャグ」とあり、下の雑誌にも黄緑色で同じ「ギャグ」の字があるように見えます。
少し前にNHKオンデマンドを観ていたので気づいたのですが、『ちりとてちん』にこれと同じと思われる雑誌があったのでした。
と言っても、雑誌そのものではなくポスターです。
駄菓子屋さんの店先に上の雑誌と同じデザインらしきポスターがあるのを見つけました(『ちりとてちん』第76回から)。
「喫茶サニー」の「ギャグ」と書いてあるのが見える雑誌は、「少年ギャグサーカス」という漫画雑誌とみて間違いないでしょう。「WEEKLY GAG CIRCUS」の文字があるので、これは週刊誌。
また、同じく『ちりとてちん』の第64回で、「なにわテレビ」の入口付近で駄菓子屋さんの店先のと同じポスターと、別の「少年ギャグサーカス」ポスターがあるのを見つけました。大きさは違うみたいですが。
また、『ちりとてちん』では、これとは別に「GAG CIRCUS」を発見しております。
ヒロイン喜代美(演:貫地谷しほりさん)が自室で使っているラジカセにある文字(『ちりとてちん』第46回から)。
「GAG CIRCUS」というメーカーのSRC-S25というラジカセであるようにも思えます(実際はTEKNOS製)。
「ギャグサーカス」と「GAG CIRCUS」について調べてみると、どうやらNHK大阪の美術にいた方のお名前みたいです。
GAG CIRCUSさんのブログ↓
そして、確認出来ないのですが、どうやらこの「少年ギャグサーカス」という漫画週刊誌は、『スカーレット』『ちりとてちん』以外に、『てっぱん』にも使われていたとのことです(ご参考までに↓)。
『スカーレット』第57回では、別のアイテムが比較的よく分かるように映っていました。「大野雜貨店」の店内に置かれた商品です。
右の台の上にある水色の細長い箱。
色が違っているものの、形状と大きさがほぼ同じに見える手前の山吹色の箱とともに、これは鉛筆1ダースの箱なのではないかと思われます。
あ、水色の箱に書いてある文字は「GAG CIRCUS」。
山吹色の箱の文字は解読不能で、丸いマークがちょっと似ているようにも思えるのですが、こちらは「GAG CIRCUS」ではないように見受けられます。引き続きチェックする対象に加えました(笑)。
現在放送中の『カムカムエヴリバディ』第63回で、「ギャグサーカス」ならぬ「おサーカス」という名前の雑誌がありました。場所はひなた(新津ちせさん)の部屋です。
「おサーカス」が4冊並んでいます。このネーミングは、「少年ギャグサーカス」をもじって名付けた、女の子向けに出版している漫画雑誌を想像させます。
背表紙にある絵の白いキャラクターは、耳の長いキティちゃんのような感じ。オッサンの表現ですみません。
ちなみに、使用されているフォントは「DF綜藝体」。真似て書いてみました(ファイル形式はSVGです)。
「お」の点(3画目)と「―」の長さが違っているものの、他は同じ。
そして、この「おサーカス」も当然チェック対象となるわけです。もう少し分かりやすい画像があればいいのですが。
(2022年1月31日追記)
「少年ギャグサーカス」が『てっぱん』で使われていたのはやはり本当でした。
ヒロインあかり(瀧本美織さん)が暮らす田中荘の住人のひとりである笹井拓朗(神戸浩さん)の部屋で「少年ギャグサーカス」を読む民男(前田航基さん)です。画像は第20回から。
この「少年ギャグサーカス」こそ、『スカーレット』で喫茶「サニー」に置いてあり、かつ表紙が『ちりとてちん』でポスターとして使われていたものです。
第64回で、「おサーカス」がかなりハッキリ見える映像がありました。
るい(深津絵里さん)が読んでいるひなたの絵日記ノートは、ジャポニカ学習帳風ですね。
本棚に並んでいる漫画雑誌や単行本の部分を切り取りました。
「おサーカス」は「別冊おサーカス」だったのでした。名前に関連性は見られませんが、「別冊」とくれば「別冊マーガレット」を連想します。
「別冊」の部分も「DF綜藝体」なので、追加して書いておきます。
また、よく見ると「お」の点もソックリで、「綜藝体」をそのまま使っていたのが判明しました。「ー」は、「綜藝体」オリジナルと比較して、少しだけ短くしたもので制作されています。
そして、ひなたの本棚にある「マーな一族」は、「ポーの一族」由来だろうと思いますが、現在BSで再放送中の朝ドラ『マー姉ちゃん』(1979年度上半期)や、テレビドラマ「ムー一族」(1978~79年)にもかけているのだなと考えます(雑誌「ムー」もちょっとだけ入っているのではないのかなと)。
(2021年2月1日追記)
1月31日から、このページへのアクセス数が急増しているのに気づきました。
どうやらたくさんの方がTwitterで紹介してくださったようです。
ありがとうございます。
朝ドラ『純と愛』で、「少年ギャグサーカス」がちらっと映っている場面がありました(第30回から)。
この回ではごく一部しか映っていなかったのですが、これだけあれば「少年ギャグサーカス」だと断定出来てしまうのでした。
他の朝ドラで使用されていたのが確認出来ればさらに追記します。
(2022年2月3日追記)
『ウェルかめ』(2009年度下半期)で、「GAG CIRCUS」と記されたノートパソコンがありました。画像は第7回から。
ヒロイン波美(倉科カナさん)が使うノートパソコンです。
不鮮明ながら、「GAG CIRCUS」と記されていると判断出来ます。
奥が深いです。実に。
(2022年2月4日追記)
『カムカムエヴリバディ』でも「少年ギャグサーカス」が登場しました(画像は第71回から)。
表紙がちらっとだけ見えている左端の「少年ギャグサーカス」は、おそらくこのバージョンだと思います。画像は『ちりとてちん』第75回から。右にあるポスターが「少年ギャグサーカス」のもの。
ピントが合っていない画像で大変恐縮です。ポスターと実際に制作された雑誌では少しデザインが異なるのでしょう、文字に幾分違う点がありますが、元の絵は同じです。
(2021年2月10日追記)
訂正です。
上に記した、
「別冊」の部分も「DF綜藝体」なので、追加して書いておきます。
は、誤りでした。
「別冊」の部分は丸ゴシック体で書かれていました。お詫びして訂正いたします。
(2022年4月5日追記)
コメント
はじめまして。
ご紹介にあずかりました「飯綱遣い」ことシャブリ (Twitter @chablis777)です。
ギャグさんは一時期朝ドラ(主にBK)から離れていたのですが、最近の作から復活されたようですね。
私はちりとてちんからチェックを始めたのですが、その後の「ウェルかめ」や「てっぱん」などにもBK朝ドラにはギャグさん小道具はたくさん出てきていました。
スカーレット(134話)武志の部屋の本棚には「作・画 ぎゃぐさん」と表記された本がありましたし、なんといっても「草若落語全集」(ちりとてちん)があります!
ギャグさん小道具探しは、私の朝ドラ視聴の楽しみとなっております。
ではでは…
シャブリ様
コメントをいただきありがとうございます。
最初は朝ドラの看板について気になってただけだったのですが、建物のセットや小道具についても興味が湧いてきて、いつの間にか深みに嵌ってしまっているようです(笑)。
教えていただいた武志の部屋の本棚をあらためて見てみますと宝の山みたいです。話の本筋は勿論ですが、こうやって小道具にあれこれ思いをはせるというのもドラマの楽しい見方のひとつなのでしょう。
これを機によろしくお願いいたします。