テレビドラマ中の看板についての話です。
現在放送中のNHK連続テレビ小説『まんぷく』第64回に登場した「ダネイホン」の大きな看板。
その大きな看板の左側に見える既設の看板の名前に見覚えがありました。
「浮島時計店」とあります。
これは同じく朝ドラで過去に放送された『べっぴんさん』に出てきた「浮島時計店」と名前が同じです。
朝ドラでは他の話のお店や会社をこういう形で持ってくるのをよくやります。ファンにとっては発見する楽しみがあったりするはずです。
『まんぷく』では看板のみが出てきた「浮島時計店」。
こんな感じで書かれていました。
実際ドラマで使われているものは「ダイヤモンド 時計 貴金属」の部分がこれとは違った書体で書かれております(私はメイリオBoldを使用)。そしてドラマの看板は背景に時計のイラストが薄ーく描かれているというなかなか凝った平看板です。
ただ「浮島時計店」の店名は「優雅宋」というフォントがほぼそのままで使われています。
当然この時代には存在しない書体ですが、全く違和感がありません。
この「優雅宋」、数年前に放送されていた朝ドラ『まれ』のオープニングでも使用されていました。役名を記すのにこのフォントが使用されていたのを覚えております。
古そうでかわいいフォントなので、ここぞという時に私も使ってみたりすることがあります。
好きな書体のひとつです。
『べっぴんさん』のセット公開に行った際(2017年3月)、「浮島時計店」の看板をガラケーで撮っておりましたのでアップしておきます。
浮島時計店の看板は京都撮影所のセットにもありました。
ひぞっこ (@musicapiccolino)さんのtwitter投稿を引用させていただきます。
#まんぷく ダネイホンの看板の並びにある「浮島時計店」は #べっぴんさん でキアリスの1号店があった神戸の元町商店街にあり、商店街四人娘の一人、時子の実家でもあった時計店。実は 萬平さんの「たちばな工房」時代がロケされた京都撮影所に組まれた街角のセットの一角にもちゃんと作られてました。 pic.twitter.com/RdH6d2oG94
— ひぞっこ (@musicapiccolino) 2018年12月13日
ひぞっこ (@musicapiccolino)さんの写真をお借りして看板の往来正面部分をPhotoshopで加工してみました。
左上が切れているのは、この部分がもともとないからです。
これをもとにIllustratorでざっと書いてみました。
「浮島時計店」ではなく「浮島時計」となっているのは、やはり時計のイラストを中心にして左右均等になるよう文字を配置する必要があったからだと思われます。
「浮島時計」は、やはり上記と同じ「優雅宋」ですが、細めに変形しています。
そして私が注目したのは「心斎橋」の書体。
ここは「優雅宋」ではなく、「麗雅宋」というフォントが使用されているように見えます。
「優雅宋」に囲まれた形の「麗雅宋」の文字。実にまとまりよく看板に収まっています。
とても相性のよい書体なのでしょう。
「こんなにかわいらしい書体はこの時代にない」という意見があるかもしれませんが、似た雰囲気の書体は当時の雑誌などでも見ることが出来ますので、「優雅宋」「麗雅宋」そのものがなかったにせよ何ら問題はありません。
それにしてもかわいらしい看板です。
昨日放送が始まった『カムカムエヴリバディ』第2回で、岡山にある「浮島時計店」に設置された看板の様子がよく分かる映像がありました。看板部分を切り取ります。
『まんぷく』で大阪・心斎橋の店に掲げられていた看板と似たイメージ。書体はほぼ同じですが、意識的に変えているような印象です(特に「浮島」の2字)。看板中央に懐中時計を配置して、その左右に「浮島時計店」の5文字を振り分けたので、「時計店」が【密】になってしまいました。
今後はずっと「浮島時計店」の表記を守り続けるのかも。
(2021年11月2日追記)
電柱に取り付けられた「浮島時計店」の柱巻き看板は、現在放送中の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』から使われています(↓)。
(2021年11月8日追記)