ドラマのセットに登場する看板に関する記事です。
本日放送が始まった朝ドラ『カムカムエヴリバディ』。前作『おかえりモネ』に続いて視聴しております。
ドラマそのものを勿論楽しむのですが、私の場合、たくさん「出演」している看板たちにもどうしても目が行ってしまいます。
中でも、左にある電柱に設置されたこの看板は予告編から気になっておりました。
おそらく「また井土時計店の看板だ」と思う方が多いだろうということは承知しておりますが、今回の『カムカムエヴリバディ』から、「井土時計店」の看板はもう見ることが出来ません。なぜなら、従来使ってきた「井土時計店」の看板を一部書き換えて「浮島時計店」の看板として使っているからです。
上の画像から切り取りました。旧「井土時計店」の看板です。
看板に書かれている半分しか文字が読めないのですが、「修理専門店」「浮島時計店」「182」の文字が確認出来ます。
「井土時計店」と書かれた状態で使われた最後の朝ドラ『おちょやん』から(第7回)。
『カムカムエヴリバディ』の「浮島時計店」看板を再掲。
横からの画像で大変恐縮なのですが、見えている部分に限って言えば、看板そのものが同じで、しかし「井土」が「浮島」に変わっていることがお分かりいただけるはずです。さらに、全く違和感なく変わっていることも。
右側から撮られた映像です(同じく第1回から)。
こちらも切り取りました。
随分前からこの看板を見ていたような、そんな気がして来ます。実際、8割ほどは全く同じ看板なので、それは当たり前なのでしょう。「浮島時計店」にも馴染みがありますし。
なぜ「井土時計店」の看板が、今回の『カムカムエヴリバディ』で「浮島時計店」に変わったのかと言うと、つぎのような経緯があったからなのかなと想像します。
- 「井土時計店」の柱巻き看板は、『てるてる家族』で初めて使われてから(要調査)、大阪制作の朝ドラで非常によく使用されてきた(『てるてる家族』『カーネーション』『ごちそうさん』『べっぴんさん』『まんぷく』『おちょやん』等)。
- 一方、『べっぴんさん』で「浮島時計店」の実店舗(神戸市内)が使われ、かつその店の親子がドラマのストーリーに登場したので、視聴者の間に「浮島時計店」がある程度広く知られるようになった。「井土時計店」の柱巻き看板は、『べっぴんさん』でも使用されている(一寸だけ)。
- また、『まんぷく』でも「浮島時計店」の実店舗が登場し(大阪市内。本放送ではほとんど映っていないが)、かつ東京・大阪の街中では平看板が使われ、「浮島時計店」がさらに視聴者の間に浸透していった。「井土時計店」の柱巻き看板は、『まんぷく』でも使用されている(ちらっとだけ)。
- 視聴者に親しまれている「井土時計店」の柱巻き看板を今回も使いたいが、ヒロインの実家の横に「浮島時計店」の実店舗を据えるので、名前だけがある(看板はあるが実際の店舗がない)「井土時計店」の看板を、この際「浮島時計店」に変更してしまおう。
全くの部外者が想像しただけですので、このとおりだと思い込まないでくださいね。
過去に制作された朝ドラで使われた「浮島時計店」の看板と、「井土時計店」の柱巻き看板について書いた記事です(↓)。
ところで、『カムカムエヴリバディ』の世界で、「浮島時計店」の店舗はどこにあるのかというと、実はヒロインの祖父が経営する「御菓子司 たちばな」の隣なのでした。
看板部分を切り取ります。
懐中時計の絵を挟んで「浮島」「時計店」とあり、その上の右側は「TOKEI」と読めるのですが、左側はちょっと読めません。「UKISHIMA」ではないような。も少しハッキリ分かりそうな映像を待ちたいところです。
第2回放送で、「浮島時計店」がほぼ正面から撮られた映像がありました。看板部分を切り取ります。
「浮島時計店」の上に書かれていたのは「UKISHIMA TOKEI」でした。
ちなみに、『まんぷく』の「浮島時計」(実在する店舗)の画像を加工したものです(ひぞっこ (@musicapiccolino)さんの写真をお借りしました)。
『カムカムエヴリバディ』の「浮島時計店」の平看板は、これとかなり似た書体を用いていますが、細部を意識的に変えているような感じです。
(2021年11月2日追記)
『カムカムエヴリバディ』第6回放送で「浮島時計店」の柱巻き看板がほぼ正面から映っている映像がありました。
看板の部分を切り取り、真っ直ぐになるよう補正します。
一方、初登場時かどうかは不明なのですが、「井土時計店」の看板が『てるてる家族』第1回で使われた時の画像です。
こちらは切り取るだけにします。
『カムカムエヴリバディ』の「浮島時計店」柱巻き看板を再掲。
比べてみると、「井土」が「浮島」に変わっているだけのようにも見えます。
しかし一番下の「1821番」から「番」が消されて、「1821」のみになっているのもお分かりいただけるはず。
「番」の字が消された理由は不明ですが、それは制作者のみが知ることなのでしょう。
新しく登場した「浮島時計店」の柱巻き看板に書かれている文字を改めて書くと、
- 時計蓄音機
- 修理專門店(修理専門店)
- 浮島時計店
- 1821
です。
「浮島時計店」の柱巻き看板について何か新しい情報があれば追記します。
(2021年11月8日追記)
一部訂正です。
『おちょやん』の画像を見ておりましたら、この時既に「井土時計店」の看板から「番」が消えていることに気づきました(『おちょやん』第47回から)。
切り取って少しだけ明るくしました。
「番」の字がありません。
『おちょやん』で既に「1821番」から「1821」になっていたということは、それ以前の朝ドラでなのかなと。
しかし『おちょやん』第15回の映像にある「井土時計店」の看板には、なんとなく「番」の字があるような。
ハッキリとは見えないのですが、2つめの「1」のさらに右に黒いものが見えます。「番」の字か?
『おちょやん』のひとつ前の大阪制作朝ドラである『スカーレット』(2019年度下半期)では、信楽の「大野雑貨店」のすぐそばにありました(第7回から)。
この「井土時計店」看板には「番」の字があったので、字が消されたのはやはり『おちょやん』の撮影が始まってからなのでしょうか。
「井土時計店」の文字が「浮島時計店」に変えられたのは『カムカムエヴリバディ』制作時で間違いないですが、「番」の字が消されたのもこの時だとばかり思っていました。
引き続き「井土時計店」改め「浮島時計店」の柱巻き看板について調べてみて、何か分かればさらに追加で書きます。
(2021年11月10日追記)