SINCE看板 2 (創業看板)

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SINCE看板 1」で書いた記事内容と切り離せない「創業看板」について書きます。

当店の場合は昭和34年(1959年)に創業しましたので、店のドアに「SINCE1959」と、営業車に「昭和三四年創業」の文字をカッティングシートで貼っています。
営業車の切文字は右から左への横書きにしていて、かつ「昭和三十四年」ではなくあえて「昭和三四年創業」と、やや古めかしい表記にしています。
こちらの方がより重厚なイメージがしていいかなと感じたのでそうしているだけで他に意図はありません。
ちなみに営業車に貼っている切文字に店の住所を記した部分があるのですが、それも右から左に書いており、「大阪市西淀川區出來島二丁目三番三二號」と記しています。わざと旧字体で書いていますが、古い雰囲気を出せるかなと感じてそうしました。いくぶん(3割ほど?)「オチャラケ」も入ってはいますが。

「昭和34年創業」と表記するのはごく普通だと思いますが、語順を入れ替えて「創業昭和34年」と書くことも可能です。
しかし平成30年の今、当店の看板に「創業昭和34年」を入れることに私は躊躇します。その理由を以下に記します。

たとえば昭和10年が創業した年だとしたら。
「創業昭和10年」なら、看板屋としてはかなり古くからやっているなと思われるであろうから全く問題ありません。自信を持ってそう書いちゃいましょう。
また「昭和10年創業」にもなんら不都合は感じません。
「創業昭和10年」と「昭和10年創業」。
意味は同じですが、「創業昭和10年」の方が、古くからやっていることを前面に出してきているという感じを受けます。
悪く言えば「格好をつけている」と言えますが、「創業昭和10年」からは事実格好がよい印象を素直に受け取ることが出来ます。
一方「昭和10年創業」からは、「創業昭和10年」よりもやや控えめな態度が見て取れる気がします。
創業から80年経っているのだから充分「創業昭和XX年」と謳ってもらっていいと思うのですが、あえてそうせず普通の語順で「昭和10年創業」。むしろこちらの方がよい印象ではないでしょうか。

次に創業した年が仮に昭和25年だとしたら。
「創業昭和25年」と「昭和25年創業」。
「昭和25年創業」の方はやはり何も問題はありません。
「創業昭和25年」は、業種にもよりますが、中には「創業昭和25年」ではなく「昭和25年創業」の方がより適切であるという業種もあるでしょう。
たとえば喫茶店なら。「創業昭和25年」よりも「昭和25年創業」の方がよいかも知れません。
コーヒ専門店かいわゆる純喫茶かという分け方やお店の造りにもその判断は依存します。
それが和菓子店なら。多くの和菓子店では「創業昭和25年」も可であると感じます。
そして「昭和25年創業」と表記する時の「控えめ度」は、「昭和10年創業」のそれと比較すると小さくなってしまうと感じます。理由は「創業昭和25年」はもともとやや無理があると感じるので(創業から70年近いのでギリギリOKという感じ)、それを「昭和25年創業」としても特に控えめではありませんよね、という気がするのです。
業種にかかわらず「創業昭和XX年」を違和感なく使えるかどうかの境界線は、その創業時が戦前・戦中であるか戦後であるかにあるような気がします。
あくまでもそういう印象を受ける、こう感じる、という個人の感想です。

そして昭和34年の場合。当店の創業した年です。
「創業昭和34年」を謳う看板屋は格好をつけすぎです。それは「ようしません」。
それでもあらゆる業種で「それはあかんやろ」というものではありません。あくまでも看板屋の場合に限ってです。
ご意見いただければ嬉しいです。