神々の腕を 呼びよせる(『ゲーテ格言集』から)

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看板とは全然関係ない話です。

新潮文庫『ゲーテ格言集』(高橋健二 編訳)にこういう文があります。

卑怯な考えの
びくびくした動揺、
女々しいしりごみ、
小心な嘆き。
そんなものは不幸を防ぎもせず、
お前を自由にもしない。

あらゆる暴力に
逆らって自己を守り、
決して屈せず、
力づよく振るまえば、
神々の腕を
呼びよせる。
(歌唱劇「リラ」1777年、から)

新潮文庫『ゲーテ格言集』から

結構有名な言葉のはずですが、原文(ドイツ語です)がなかなか見つかりませんでした。

ようやく見つけたのがこれです。

Feiger Gedanken
Bängliches Schwanken,
Weibisches Zagen,
Ängstliches Klagen
Wendet kein Elend,
Macht dich nicht frei.

Allen Gewalten
Zum Trutz sich erhalten,
Nimmer sich beugen,
Kräftig sich zeigen,
Rufet die Arme
Der Götter herbei!

そして、最初のFeiger Gedankenで検索してみると、動画(音楽)もあったりします。

私でも知っているディートリヒ・フィッシャー=ディースカウが歌っているのでした。作曲はヨハン・フリードリヒ・ライヒャルト(Johann Friedrich Reichardt)。

聴いてみると、意味は全然分からないものの「韻を踏んでいる」と気づきます。
そして、語句の意味は分からないながらもドイツ語の原文を眺めていると、確かに似た語尾を持つ語が並んでいるのです。

また、Hans Reinmarという歌手が歌うのもあります。ピアノはMichael Raucheisen。

こちらは、歌詞こそ同じであるものの、曲は明らかに別ものです。クラシック音楽は詳しくないので、曲を聴いた印象について「重々しい」くらいしか説明が出来ません。

ちなみに、このFeiger Gedankenは、他にも日本語訳がいくつかあって、大山定一の訳では、

臆病な考えや、
不安なためらいや、
女々しい足ぶみや、
あわれな訴えは、
少しも悲惨をすくうことができぬ。
決してきみを自由にせぬ。

暴力に抗して
つよく立ち上がり、
屈服をいさぎよしとせず
あくまでも戦いぬいて、
初めてきみは、神聖な神々の
救いの手をよろこぶことができるのだ

新潮社 世界詩人全集 1『ゲーテ詩集』大山定一訳から

となっています。

勿論こちらもいいなと感じるのですが、好みで言うと、高橋健二訳の方かなと思います。

また、Youtubeではこの文(ドイツ語の原文)を単に朗読しているだけのものもいくつか公開されていて、なかなか人気があるのだなと感じます。