ドラマで使用された小道具の話です。
現在放送中の朝ドラ『なつぞら』では、複数の飲食店で同じ洗剤が使われています。
「風車」のおでんです。手は、亜矢美(演:山口智子さん)のもの。
おでんの向こうに見える青い箱には「ヒマヨン」と書かれています(『なつぞら』第45回から)。
こちらも「ヒマヨン」。「川村屋」の洗い場です。皿を持っているのはなつ(演:広瀬すずさん)です(第51回から)。
箱の文字が読めます。
- 洗面所の汚れ
- タイル磨き
- 食器磨き
- 油気落し
と書いてあるので、ドラマの中でなつが使用しているとする洗剤なのでしょう。
ヒマヨンの部分だけを切り取りました。
見えづらいのですが、箱の一番下に「ヒマタン株式会社」と社名が書いてあります。
「ヒマタン」が作っている洗剤「ヒマヨン」。何かちょっとかわいいですね。
不鮮明ながら、箱のマークは花びらと何かの動物のように見えます。犬か猫のような感じ。
そしてその上にはこう書いてあります。
水アカ、茶しぶ、こげつき、
灰皿のヤニ等のしつこい
汚れをきれいに落します。
泡立ちがよく、油汚れを
ラクに落とせます。
金属や陶器をキズつけに
くくするために粒子のキ
メを細かくしてあります。
第46回で箱の全体が分かりそうな画像がありました。
当時は今のようにスポンジを使わなかったのでしょうか。たわしで洗っているようです。
ドラマの本筋とは全然関係ありませんが、気づいたので書いてしまいました。
第82回の放送で、十勝の柴田家でも使われているのが分かる映像がありました。女性はなつを9歳から育てた母親・富士子(演:松嶋菜々子さん)。
確かなつが東京へ行く前には使っていなかったはずでした。「ヒマヨン」を巡って母と子が会話をしている場面を想像してみると楽しいかも知れません。
そしてこの「ヒマヨン」は、後に「ヒマタン」と「スーパーヒマタン」に生まれ変わるようです(『ひよっこ』第74回から)。
「ヒマヨン」の説明書きでもそれっぽかったですが、「ヒマタン」も「スーパーヒマタン」もクレンザーなのですね。
そして「ヒマタン」「スーパーヒマタン」のいずれにも、「ヒマヨン」に書いてあるのと同じ、
「洗面所の汚れ・タイル磨き
食器磨き・油気落し」
の文字が入っていました。
会社名はもともと「ヒマタン」で、当初は「ヒマヨン」を作って売っていたが、後に社名と商品名を「ヒマタン」で統一したというところでしょうか。
商品名の書体は似ていますが、「ヒマタン」「スーパーヒマタン」と比較すると、「ヒマヨン」の方は丸みが大きい感じです。
「すずふり亭」では「ヒマタン」が使われていました。
見えている出入口脇の洗い場にひとつあり、手前の棚に漂白剤と並んでひとつ、そして右の壁際にある流しにひとつあります。見えているところでは調理場には別々に3本置いてあったということです(第62回から。「ヒマタン」大人気!)。
「ヒマタン」も「スーパーヒマタン」も、「すずふり亭」前の「トキワ堂薬局」で売っていました(『ひよっこ』第132回から)。
また、三男(演:泉澤祐希さん)が勤めている「安部米店」の筋向いにある「いづみ屋砂糖店」でも同様に売られていました(同125回から)。
ワゴンもそのまま使っていたりします。
このワゴンのメンバーは、ヒマタン、スーパーヒマタン、ダイアナ(歯磨き粉)、ニューサファイヤ(合成洗剤)、トイレットペーパー、漂白剤、洗濯糊、固形石鹸、食器洗い用スポンジ、タワシ、ホウキ、ハタキというところです。
そして上の『ひよっこ』第74回の画像でヒマタンの左横にあるせんたく糊ですが、よく見ると「あのマーク」が入っているではありませんか。
上の『なつぞら』「ヒマヨン」の箱からマークを切り取り、歪みを補正したものです。
同じマークに見えます。
つまりこの「せんたく糊」も「ヒマタン」社製なのでしょう。
となると、「漂白剤もヒマタン社のものではないのか?」
という疑問が当然沸いてくるわけです。
漂白剤の画像を探してみたところ、はっきりそれと分かる画像は得られませんでした。
さらに『ひよっこ』をチェックしていたところ、第68回でこの「ヒマタンマーク」を発見してしまいました。
左側のサラダ油の瓶です。
ラベルに「ヒマタンマーク」があり、その横に「HIMATAN FOODS」と書かれているように見えます。
「ヒマタン」は食品会社でもあったのか!
ちなみに『なつぞら』第82回の「ヒマヨン」の横に写っている箱にも何か商品名が書いてあるようです。
子どもの顔のイラストがあるように見えます。
同じ第82回、別の一場面。なつ(演:広瀬すずさん)の顎の下に見えます。
切り取ってみました。
「笑みの素」と読めます。
「味の素」へのオマージュかと思われます。おそらく調味料なのでしょう、この箱は。
しかしさすがに「ヒマタン」社のものではないでしょう。
この「笑みの素」を『ひよっこ』で見つけてしまいました。
第76回の画像。「あかね荘」共用の台所です。
画像が極めて不鮮明で大変恐縮なのですが、左の四角いのが「笑みの素」です。右は「魔法カレー」。
『なつぞら』第124回で鮮明な画像が得られました。やっぱり「笑みの素」で、かなを振ってあるのでした。「EMINOMOTO」の表示もこれまでは全然見えなかったので、とてもウレシイです。
「魔法カレー」とペアみたいになっているのは『ひよっこ』と同じ。
『なつぞら』第133回では、天陽の家にもあるのが確認出来ました。
見えづらい画像で恐縮です。左側に「笑みの素」のオレンジ色の缶が写っています。
『半分、青い。』では、「ヒマタン」等は使われていなかったようです(『半分、青い。』第35回)。
画面右上の青い缶には「カネコ」「・・クレンザー」と書いてあります。
このドラマの為に作ったのだと思われるので、「ヒマタン」や「スーパーヒマタン」の登場はなかったのでしょう(カネヨ ソフトクレンザーという箱型の商品が実際にあり、色使いや白い2本のラインがそのまんまです。なので、ここはソフトクレンザーであろうと思われます。ー2021年8月6日追記)。
食器洗い洗剤は、チャーミーグリーンの容器っぽいです。
「カネコクレンザー」は『ゲゲゲの女房』にも登場していました。
容器は全く異なっています(『ゲゲゲの女房』第48回から)。
この「カネコ」という名前は、おそらく古くからあるクレンザーの「カネヨ」から来ているのだと思います。
『なつぞら』の「ヒマヨン」は、ヒロインの母親役を演じている松嶋菜々子さんが主演した朝ドラ『ひまわり』にちなんで命名したのではないかと、穿った意見ですがそう思ってしまいます。
「~ヨ」という名前にしたいけれど、「ヒマヨ」ではまずいだろう。ならば「ヒマタン」にも似せて「ヒマヨン」にした。
そうだったら面白いのになぁと思います。
(また、「カネヨン」というカネヨ製の液体クレンザーがあるので、というのも理由のひとつだと思います。―2021年8月6日追記)
『ひよっこ』で使われていた「ヒマタン」を使わなかった理由は勿論想像するしかないのですが、あの円筒形の容器はドラマの設定である昭和31年頃にはまだ一般的でなかったのでそのままでは使えず、新たに四角い箱の容器を作るのであれば新しい名前をつけよう、となったのではないかなと。
あくまで想像してみただけですので、本当にこうだったのだと思わないでくださいね。勝手な意見なのです。
『なつぞら』第109回で、「ヒマタン」らしきものが写っていました。
正面左側の障子のすぐ右です。
無茶苦茶画像が小さくてかつ不鮮明なのですが、これは左が「ヒマタン」で右が「ヒマヨン」でしょう。
おそらくごく最近「ヒマタン」が新発売になったので購入して、まだ残っていた「ヒマヨン」と並べて写すことにより、ちょうど新旧交代を表現しているのだと思います(そこまで見ているヤツはいない!?)。
ということは、「風車」でも「ヒマタン」が見られるのかも。チェックしておきます。。
(2019年8月5日追記)
『なつぞら』第110回で、帯広の菓子店「雪月」の正面にある雑貨店のワゴンに「ヒマタン」「スーパーヒマタン」が写っていました。
一番上の段に、「スーパーヒマタン」が2列で、「ヒマタン」が3列で並んでいます。
漂白剤、トイレットペーパー、スポンジも『ひよっこ』のものと同じです。
気づいた人も多かったのではないでしょうか。
また、歯磨き粉の「DIANA」(↓上の画像でヒマタンの右隣)、合成洗剤の「ニューサファイヤ」(↓下の画像で右下)も『なつぞら』に初登場です。
ピントの合っていない画像しかなかったので申し訳ありません。
(2019年8月6日追記)
そして第115回では、なつと一久の新居にも「ヒマヨン」「ヒマタン」が置かれているのが確認出来ました。
切り取りました。
十勝の柴田家と同様、こうして「ヒマヨン」と「ヒマタン」が並んでいるのを見ると、「ヒマヨン」の後継商品が「ヒマタン」であるというのは間違いで、もしかすると用途がそれぞれ別にある洗剤なのかも知れません。
十勝の実家から「ヒマヨン」(だけ)を持って帰ってきて使っているのだと考えられなくもないですが、そこまで小道具にこだわっているかどうかはやっぱり不明です。
先に同じようなことを書きましたが、母子で「ヒマヨン」と「ヒマタン」を比較するような会話をしているところを想像(妄想ですね)すると楽しいと思います。
富士子「やっぱりヒマヨンがいいわねぇ」
なつ「お母さん、もう時代はヒマタンなんだからぁ」
とか。
『なつぞら』第116回では、「川村屋」そばの「小島商店」の店先にも「ヒマタン」「スーパーヒマタン」が置いてありました。
ワゴンも帯広のものと同じだったりします。。
「昭和48年6月」というナレーションがあった回(第132回)です。やっぱり「ヒマヨン」が置いてあります。
『なつぞら』第134回で、亡くなった天陽の弔問に山田家を訪れたなつ・娘優と両親。
山田家にも「ヒマヨン」「ヒマタン」が。
粗い画像で大変恐縮です。
第135回ではかなりハッキリ見えていました。
悲しい場面なのでちょっとだけ躊躇しましたが、これほど鮮明にふたつの洗剤が写った画像は他にないので引用させていただきます。
朝ドラ『なつぞら』第149回では、千遥の店「杉の子」にも「ヒマヨン」「ヒマタン」が分かる場面がありました。ピントが全然合っていなくてぼやけていますが、この青色と黄色は間違えようがありません。
第150回で、前回より少しだけ鮮明な画像がありました。
左が「ヒマヨン」、右が「ヒマタン(クレンザー)」です。
下山家のキッチンにも「ヒマタン クレンザー」が置いてありました。画像の左端に見えます(第128回)。
すごく小さくて暗いので明るくしてみました。
『なつぞら』に限って「ヒマヨン」「ヒマタン(クレンザー)」がどの場所で使用されたのかをまとめてみました。
ヒマヨン | ヒマタン(クレンザー) | スーパーヒマタン(クレンザー)販売のみ | |
風車 | ○ | ― | ― |
川村屋 | ○ | ― | ― |
柴田家 | ○ | ○ | ― |
「○セ」?(雪月の向かいにある雑貨店) | ― | ○ | ○ |
坂場家 | ○ | ○ | ― |
小島商店(川村屋そばにある雑貨店) | ― | ○ | ○ |
山田家 | ○ | ○ | ― |
杉の子 | ○ | ○ | ― |
下山家 | ― | ○ | ― |
こうして一覧にしてみると、『なつぞら』では9ヶ所で「ヒマヨン」または「ヒマタン(クレンザー)」を見ることが出来たということです。また別の朝ドラで使われることがあれば、「これは『なつぞら』でよく見たクレンザーだ」と気づく人が多いことでしょう。
現在放送中の朝ドラ『おかえりモネ』で、いくつか新しい「ヒマタン」製品を発見しました。朝ドラ小道具マニアの方でも、「ヒマックリン」や「ヒマタンの醤油」はご存じないかも知れません。非常にマイナーな話で、興味のない人にとっては実にどうでもよい、むしろ読むだけ時間の無駄でしかないことなのですが。
(2021年7月27日追記)
「ヒマタン牛乳」のマークがかなり鮮明に映っている画像がありました。『おかえりモネ』第56回からです。
すぐ後の場面から切り取り、補正しました。
使われている色は赤1色ではなく、顔の部分がオレンジ色との2色になっているのに気づきます。
『なつぞら』の「ヒマヨン」に入っていたマークを再掲。
比較すると、こちらは赤1色で、鼻の下に口が描かれているように見えます。逆に、目の部分が分かりませんが、おそらく「ヒマタン牛乳」のマークと同じようになっているのだろうと。
そして、この「ヒマタン」のモデルは『妖怪ウォッチ』の人気キャラクターである「ジバニャン」なのではないかと想像します。
「ジバニャン」と「ヒマタン」。音も似ています。
「ヒマタン」の口がどうなっているのか、引き続き朝ドラをチェックすることにします。
(2021年8月7日追記)
ショーケースにある「ヒマタン牛乳」の文字とイラストを、なぞって書いてみました。
おそらく実物とは異なっていることと思います。特に左にあるマーク部分は想像で描いたところが多いです(目や口や鼻)。
あくまでも「ご参考までに」ということで。
(2021年9月9日追記)
本日放送が始まった『ちむどんどん』で、「ヒマヨン」「ヒマタン」他が映っていました。
左の棚の上段左から、「ヒマタン」「ヒマヨン」、洗濯糊(×2)、漂白剤(✕3・非ヒマタン社製)があり、その下には「ヒマタン」らしき比較的小さな容器2種類が並んでいます。その右の黄色いママレモン風の容器は液体食器洗い洗剤でしょう。
小さな容器2種類の部分を切り取ります。
「これはきっとシャンプーとリンスだ」と感じる昭和生まれの方も多いはず。そして、右のピンク色の容器のラベルは「ヒマタン」ではなく、なんとなく「ヒマボン」と書かれているように見えます。
そこで「オリジナルはバスボンか?」とピンと来る人もいらっしゃるかも。試しに「バスボンシャンプー」で画像検索すると、出て来ました。画像を引用したツイートをされているのがありましたので引用させていただきます。
資生堂 バスボン
1974年頃。資生堂から発売。
●https://t.co/DsFyGCuTfy
●https://t.co/KTzfLlONOG pic.twitter.com/f524btp5Nv— レトロ系 (@retoro_mode) March 19, 2016
「バスボン」の容器を流用していることは間違いなさそうです。ピンクの方は「クリームリンス」で、左の濃い緑色っぽいのはシャンプー(グリーン。『ちむどんどん』の「ヒマボン」画像を再掲)。
なんとなくナツカシイ商品。でも「ヒマボン」なのです。
丸いラベルの下にある文字は、「髪・しなやか・ゆらゆら」。4K放送の画像でもおそらくここの文字は読めないと思いますが、実物をカンニング(?)すれば予想することが可能です。
そして、ラベルの上部にある赤いのはきっと「ヒマタン」マーク(笑)。
(2022年4月11日追記)
現在放送中の朝ドラ『虎に翼』でも「ヒマタン」「ヒマヨン」が使われているのが判明しました。
画像は『虎に翼』第111回から。星家の居間です。「ヒマタン」「ヒマヨン」は奥の台所に置かれています。
粗い画像で申し訳ありません。それでも、このページを最初から読んでいらっしゃる方にはごく簡単かも(かなり小さいですが)。
『虎に翼』では、先に「ヒマタンビール」という新商品(ドラマ内では戦前の日本)が登場していました。画像は第2回から。
右手前のビール瓶を切り取って補正した画像。
これが「ヒマタンビール」です。「向日丹麦酒株式會社」の商品。詳しくはこちらをご覧ください(↓)。
(2024年9月2日追記)