「常に“現在”に固執せよ!」(ゲーテ)

シェアする

名言に関する短い記事です。

英文サイトで(和訳して)ゲーテの名言を調べていたら、結構イイ言葉がありました。

常に現在をしっかりと握りなさい。すべての状況、実際にはどの瞬間も無限の価値があり、それは永遠を代表するものだからです。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

「現在」が「永遠を代表するもの」。「いま」を大切にしたいものです。

元の英文はこうなっていました。

Always hold fast to the present. Every situation, indeed every moment, is of infinite value, for it is the representative of a whole eternity.

さらに、ゲーテ本人によるドイツ語の文章。

Halte immer an der Gegenwart fest. Jeder Zustand, ja jeder Augenblick ist von unendlichem Wert, denn er ist der Repräsentant einer ganzen Ewigkeit.

英語なら少しは分かるつもりでいるのですが、ドイツ語は依然お手上げ状態です。

出典を調べてみると、エッカーマン『ゲーテとの対話』1823年11月3日の文章であるというのが判明。山下肇訳の岩波文庫版から引用します。

「そうこなければ嘘だよ」とゲーテはいった、「その方向をだいじに守って、常に現在というものに密着していることだ。どんな状態にも、どの瞬間にも、無限の価値がある ものだ。なぜなら、それは一つのまったき永遠の姿、その代表なのだからね。」

エッカーマン「ゲーテとの対話」(上)岩波文庫 山下肇訳 1823年11月3日 から引用

他の日本語訳もあるはずで、林尹夫ただおの「わがいのち月明に燃ゆ 戦没学徒の手記」に、ゲーテの言葉であるとして別の訳が記されているのが分かりました。

「常に“現在”に固執せよ!そのおのおのの状態、そのおのおのの瞬間に無限の価値あり。そは“全永遠”を代表するものなれば」

林尹夫「わがいのち月明に燃ゆ 戦没学徒の手記」筑摩書房 昭和18年5月25日 から引用

そして、「わがいのち月明に燃ゆ 」を紐解いてみると、出典は三井光弥の『父親としてのゲーテ』であると。

『父親としてのゲーテ』は、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧が可能です。

『父親としてのゲーテ』ではこう書かれています。

常に「現在」に固執せよ!その各の状態、その各の瞬間に無限の価値あり。そは即ち「全永遠」を代表する物なればなり」

国立国会図書館デジタルコレクション 三井光弥「父親としてのゲーテ」今日社(昭和23年12月25日発行) から引用

名言では、いつもいつもそうだと言えませんが、命令文が結構力を持つかなと思います。そしてこのゲーテの言葉にはとても力があると感じるのです。

また、「常に現在に固執せよ!」や「永遠」と聞くと、ゲーテの友人シラーの言葉を連想せずにはいられません。

お前が刹那から追い出したものを永遠は返してはくれない

「いま」を大切にすることが重要。
時代が変わってもこの事実は変わりません。
常に「現在」に固執しましょう。